営業・企画職のためのXMLレシピ 第3回:文書には7つの種類がある

XML/XML DBのサイバーテック:連載コラム/営業・企画職のためのXMLレシピ

2011年1月17日
事業本部 副本部長 小野 雅史

前回のコラムで、XMLが文書構造と意味を表現でき、コンピュータでの処理を可能としたマークアップ言語である事をお伝えしました。今回は、企業が扱う様々な文書をXMLで蓄積して再利用するシーンを具体的にご紹介します。

1. 企業で扱う文書を分類してみよう

皆さんのまわりにはたくさんの文書があります。まずは文書そのものを制作工程や利用用途の違いで整理してみます。中には「文書」と呼びにくい類のものもありますが、最終的にデータとして管理する、という視点で比較検討をするため、ここではあえて「文書」としてひと括りで捉えたいと思います。

ビジネス帳票

MS-Word/Excelなどのビジネスアプリケーションで作成される文書を「ビジネス帳票」とここでは呼ぶことにします。議事録や報告書、業務マニュアルやビジネスレターなどを指し、オフィス内のプリンタで印刷したり、メールに添付する事でビジネス活動でのコミュニケーションのツールとして、また個々の業務ノウハウの共有や証跡を保管する目的で作成されます。

規程集、約款

ビジネス帳票に近いが、文章量が多くある特定分野で利用されるため「帳票」とは別分類としました。保険会社が発行する約款や医薬品に添付される添付文書、有価証券報告書、財務諸表報告書などがこれにあたります。法律による改訂箇所の履歴管理や新旧対象内容の管理などを厳密にかつ効率良く行うというニーズがあります。

販促文書

カタログやチラシ、フライヤー、ポップなど、商品やサービスの販促用に作成される文書を「販促文書」とここでは呼ぶことにします。一般的にAdobe InDesignやQuark ExpressなどのDTPソフトで作成される事が多く、色彩の再現性や訴求力を重視したデザイン性が重視されるため、その制作工程では、デザイナーや印刷会社の専門家の知識が必要とされます。

教材、専門書

学校で使われる教科書や参考書、塾のテキストや「六法全書」などの法律書、医師や看護師向けの医学書、税務金融関係の解説書までをまとめて「教材、専門書」と呼ぶことにします。これらは、教育機関や専門家のアドバイスを元に作成され、専門知識を持った編集者とそのノウハウを理解した制作者が制作にあたります。知識レベルや学習段階に応じた分冊化や電子化へのニーズが高い分野です。

技術文書

取扱説明書やサービスマニュアル、エレクトロニクス製品の仕様書などを「技術文書」と呼びます。メーカーの技術者や研究者と専門の編集者が協力して制作にあたります。設計図面やグラフなど、他のツールで作成された図版を組み込むことが多く、数式も良く使用されます。また、日本語だけでなく多国語やE-ラーニング教材への転用に対応する必要が有ることも大きな特長です。

一般書籍

小説や雑誌、コミックを「一般書籍」と呼ぶことにします。これら一般書籍は、作者と、作者が作成した著作物を出版する出版社が存在します。他に比べ著作権の取扱が非常に重要となるのが特長です。最近話題の電子書籍は、この分野がメインターゲットとなり、作家や出版社や印刷会社、デバイスメーカー等が新たなビジネスモデルを次々と立ち上げています。

新聞、フリーペーパー類

最新の情報を伝えるニュース性の高いコンテンツを掲載したものを「新聞、フリーペーパー類」と呼ぶことにします。一般的に発行周期が短くページ数も少ないフリーペーパーもこの分野に分類することにします。内容の新鮮さが重要なため、電子版(Web)の取組みや、ソーシャルメディア(SNSなど)との連動が試行されています。

2. 各文書の特長とデータ管理のニーズ

それでは次にこれら企業で扱う文書そのものの制作上、構造上の特長とデータ管理をするうえでどのようなニーズがあるのか、という視点でもう少し詳しく比較してみることにします。

  文書構造の特長 制作上の特長 データ管理上の特長
ビジネス帳票 非定形。文書の種類が多岐にわたり、作成者個人により構造はバラバラ。 MS-Word等で作成。作成方法は個人毎に異なるため再利用するためには作成過程でのルール化が必要。 組織内で文書を検索する、共有する目的でのニーズが高い。
規程集、約款 半定型。構造上の特長としては、共通部分と製品やサービス、企業単位で異なる個別部分が一つの文書に混在するため、「似たような異なる文書」が沢山存在する。 印刷物で配布する事が多いため、印刷会社が企業からデータを受け取り、データ化から印刷までを行う場合が多い。最近はDTPデータからPDFを生成してWebで配布する事も一般的になった。 「似たような異なる文書」が多く存在するため、改訂時の二重入力、二重校正をなくす目的でデータを一元管理するニーズがある。制作から印刷工程へは自動組版システムを利用する。
販促文書 非定形。デザイン性が重視されるため。但しカタログなど一部の販促文書はスペックを表示する「小組み」と呼ばれる定型構造を持つものも多い。 企業の販促担当者が、DTPデザイナ、コピーライターやディレクターといった専門職と共に制作を行う。定型的ではないので比較的自由なデザイン重視で行われる事が多い。 ページ数が膨大は冊子形式のカタログは、制作効率化のためのアセット(画像やテキスト素材)の一元管理のニーズがある。また電子カタログ化におけるデータ変換(PDFからeBook)ツールのニーズもある。
教材、専門書 半定型。書誌情報、目次、素材文、問題、解答、図版、脚注、参考文献などといった基本的な文書構造を持つ。その構造は、教科や書籍によって幾つかのバリエーションを持つ。 制作はDTPソフトを使用する事が多い。編集者の方針で、デザインが重視され、イラストが多用されると、教材や専門書が本来持っている文書構造の概念が制作過程で欠落してしまう事がある。 一冊の教科書や専門書を再利用して別の出版物を制作するニーズが非常に高い(生徒用、指導者用、難易度別別冊、分冊化)。また電子教科書やインターネットを使った学習スタイルへの対応で制作効率化も必要。
技術文書 半定型。目次、説明文、図版、関連文書などといった基本的な文書構造を持つ。製品によって幾つかのバリエーションを持つ。 原稿執筆からライティング、編集、翻訳、管理など制作が分業化され工程も複雑。執筆者はWord等の慣れたエディタを使うが、編集段階では印刷を意識してDTPを利用する事が多い。 大人数での制作と複雑なワークフローの管理をシステム化するニーズが高い。データの電子化に対するニーズはPDFによる校正、翻訳作業の効率化の面で高いが、多メディアへの展開は未知数。
一般書籍 非定形。特に雑誌やコミックは写真やイラスト中心となる。一部情報誌の中には、情報を定型化させるものもある。 DTPを使った制作が主流。 電子書籍リーダーの普及でDTPデータを別形式に変換するニーズが高い。書籍に毎、書籍内の素材毎に著作権を管理するニーズも高い。
新聞、フリーペーパー類 非定型。一部フリーペーパーの中には半定型なものも存在する。(クーポンや店舗紹介)。 新聞は、専用のシステムによって制作される。フリーペーパーは雑誌と同様にDTPで制作される。 新聞の場合、紙面制作よりもWebニュースへの配信を目的としたデータ変換と配信面でのデータ管理のニーズが高い。

このように文書毎の特長を整理、分類する事で、そもそも構造化した方が良いものか、制作の効率化を目的とするのか、データの使いまわしを目的とするのか、などという根本的な議論から入る事が出来るのです。次回からはそれぞれの文書について、具体的な課題とデータ化の必要性、さらにはXML化の適用範囲とメリットについてお話したいと思います。

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