営業・企画職のためのXMLレシピ 第12回:Webから始めるXMLデータ管理

XML/XML DBのサイバーテック:連載コラム/営業・企画職のためのXMLレシピ

2011年9月30日
クロスメディア開発部 部長 小野 雅史

前回までのコラムで、XMLが「コンテンツやドキュメントをコンピュータで効率良く処理するのに最適なデータフォーマットである」事はご理解頂けたと思います。しかし、XMLと聞いただけで、「敷居が高い」「技術の事はわからない」と考えていませんか?

確かにXMLのメリットを直接享受できるのは、企業の中でも情報システムやコンテンツを管理する部門や、コンテンツ制作部門の方です。しかし、実は、ホームページ(Webサイト・Webシステム・Facebook等のソーシャルメディア)や電子書籍(PDF・EPUB)などのサービスやシステムとも非常に親和性が高く、WebシステムやWebサイトの企画、提案営業の方がXMLを使ったデータ管理のメリットを理解する事は実は非常に大きな「武器」になるのです。

今回は、WebサイトやWebシステムの提案から始まり、XMLデータ管理に辿り着くまでの企画提案プロセスについて書きたいと思います。

「Webファースト」という考え方。

「Webファースト」という言葉をご存じでしょうか?元々は、2005年頃にアメリカの新聞社が提唱した言葉で、「記事を公開するタイミングについて、紙媒体よりもウェブ媒体を優先させる方針」(Wikipediaより抜粋)という概念です。日本では、角川クロスメディアが2008年に「東京ウオーカー」で情報誌としては日本で初めてこの概念を取り入れ、「ウオーカープラス」というWebサイト上で実現しています。

私はこの「Webファースト」という言葉を、少しだけ拡大解釈して次のように使っています。

「Webファースト」の商談事例

印刷会社

私は、印刷物だけのためのコンテンツデータベースの構築は意味がない、と言い切っています。理由は2つ。印刷物のためだけでは費用対効果が得られにくい事(得られたとしても効果が表れるのに時間がかかる)と、同時に印刷物の制作プロセスの改革が必要となるため、導入までに十分な検討期間とステークホルダーとの調整が必要となる事です。その点、Web媒体の制作プロセスは著作権等の調整を除いて非常にシンプルであり、「Web-CMSの導入=Webコンテンツのデータベース化」を実現できます。また、費用対効果の面でもWeb媒体は、「アクセスが増加した」「問い合わせが増えた」「商品の認知度が上がった」など費用対効果を比較的短期間で数値化しやすいのも特長です。

印刷物のためのコンテンツデータベースを構築したいなら、まずはWeb-CMSを導入した商品情報サイトのリニューアルを提案します。それはWeb用の商品情報コンテンツの整備だけでなく、売るために必要な機能を搭載します。すなわちそれはデータベース化するための生きた情報(「印刷物以外で管理すべき属性やデータ項目、商品の分類方法」など)を収集することになるのです。その後は、Web-CMS上に蓄積されたコンテンツや属性情報を分析し「コンテンツデータベースのあるべき姿」を設計します。クライアントのデータ管理部門や社内(印刷会社)のシステムエンジニアを交えた本格的なコンテンツデータベースシステム構築の検討スタートは、そこから始めても決して遅くはないのです。

システムベンダ

システムベンダの営業の方から次の様な相談を受ける事があります。

「クライアントの出版社にワンソース・マルチユースするための、出版データベース・システムを提案したい。」

それに対して、「お客様の要望は何ですか?」と聞くと、
「InDesignやWordで保有しているデータをXML形式に変換して取り込むツールと、Webベースの使いやすい編集機能、さらには出版コンテンツを格納するデータベースと版数管理が行えるコンテンツ管理機能と、PDFに出力するための自動組版機能です。」という答えが返ってくる事が多いです。

さらに、「予算はどれくらいですか?」と聞くと、
「ハード含めて1,000万円以内です。お客様も予算が出にくくて。期間は半年以内で、と言われています。」

実は、このようなシステムは、最低でも2,000万円~3,000万円の予算が必要で、構築期間も約1年かけて行うパターンがほとんどです。ここであなたならどのような提案をしますか?

とにかく予算内でやれるよう安く開発をしてくれるシステム開発業者を探す。

顧客要件を満たすパッケージソフトを探し、一番安くて機能が多い製品を提案する。

顧客要望をほぼ満たすシステムを、赤字覚悟で受注する。

1,000万円の予算で収まるよう、顧客要望を削って提案する。

システムベンダの営業に、その案件提案から降りるようにアドバイスする。

私は、いずれの方法もとりません。もう少し顧客の本質的な課題(経営課題や業務課題)をヒアリングした上で、1,000万円の半分以下の金額で実現できる、予算の使い道として最も有効だと思える分野を幾つか提案するのです。そのためには、クライアントである出版社の同業他社がどのような分野に対してITの投資を行っているか、さらには、出版業界全体を取り巻く課題について知識を持っておく必要がありますし、直接クライアントから課題を引き出すためのヒアリングをする能力も必要です。

クライアントが出版社の場合、今、まさに業界全体が電子書籍ビジネスに乗り遅れまいと、出版物の電子化やコンテンツの一元管理に着手し始めています。しかし、出版社が必要としているのは「単にコンテンツが管理できる自動組版システム」ではなく、「電子書籍のビジネス化を支援するツールやサービス」である事が多いのです。

冒頭のシステムベンダの営業にはそれを伝えたつもりなのに、いつの間にか話がシステムを構築すること自体が目的のような話にすり変わってしまっていたのです。

「電子書籍を販売するためのWebサイト(ポータルサイト)の構築と、そこに掲載するための電子書籍をHTML5形式で作成するサービス。」

このような提案であれば顧客の予算で十分実現できるはずです。そして最も重要なポイントは、この提案により顧客である出版社が電子書籍のビジネスの第一歩を踏み出す事ができ、さらには新たな売り上げ拡大の可能性を引き出す事ができた事ではないかと思います。

さいごに

「Webファースト」さらには「Webファースト&プリントレイター」の本質は、決して紙の出版物や販促物の魅力や必要性がなくなったと言う事ではありません。今の時代、紙の制作物の効率化を目指すシステムよりも、FaceBookなどソーシャルメディアを含めたWebサイトとコンテンツ制作に対してIT投資を行う企業の方が圧倒的に多いのは事実です。クライアントは、顧客囲い込みやマーケティングといった売り上げ拡大に直結するような分野に対して、間違いなく投資意欲を持っています。

今回は、XMLから話がそれてしまいましたが、最終的にコンテンツを管理する時のデータとしてXMLが有効である事には変わりありません。

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