Google翻訳などの自動翻訳ツール・サービスは、実際どれぐらいビジネスに使えるのか

ビジネスにおける、自動翻訳ツール・サービスの必要性

無料で使える翻訳サービスであるGoogle翻訳や、携帯アプリ等にインストール可能な翻訳アプリ、あるいはプロ向けのAI翻訳ソフトであるTrados(トラドス)など、様々な翻訳ツールやサービスが世界中で使用されています。

私たちが携わる、ITに関する様々なプロジェクトにおける現場でも、オフショアサービスの普及や、企業のグローバル化により、英語がニガテだが、どうしても英語を使用しなくてはならないといった場面に遭遇する可能性が次第に高まってきています。そのような場合、自動翻訳ツール・サービスに頼らざるを得ない状況が起きているかと思いますが、ビジネスにおいて(注:ビジネス英語ではなく、業務上という意味で)、本当に自動翻訳ツール・サービスを活用し、外国人と問題なくコミュニケーションできるのでしょうか?

昔は使い物にならなかったけれども、精度が格段に向上してきたといわれるGoogle翻訳で、どれぐらい仕事で使えるルーツなのか、今回色々と試してみました。

自動翻訳ツール・サービスによる英訳時に実際に起きた問題点

ケース1:「~対応」という日本語をうまく翻訳できない。

「対応」という文字を、「Aに対応したB」のように、「一致する」、「相当する」という意味での「対応」と一律に訳されてしまいます。ビジネスにおける様々なプロジェクトで必ず出てくる「保守対応」というような単語の翻訳が「Maintenance correspondence (保守一致)」という、おかしな英語に翻訳されてしまうと、業務上困りますね。

ケース2:カタカナの和製英語が入ってくる場合に正しく翻訳できない。

ビジネスにおいて、顧客対応などで出てくる「クレームを入れる」という日本語を翻訳させると、「To put in a claim(請求に入れる)」と訳してしまい、claim を「クレーム」と訳してほしいのに、請求と訳してしまいます。これは、日本語の「クレーム」は、英語では苦情を言うという意味をそもそも持たないため、このようなおかしな翻訳になってしまいます。業務上は、これを回避するために本来の正しい意味である「苦情を言う」、「苦情を申し立てる」というような日本語に変換するという翻訳前のひと手間がかかってしまいます。
※日本の和製英語や、四字熟語等にはまだまだ対応していないものが多いようです。

ケース3:漢字を使用しているか、使用していないかによって、翻訳内容が変わってしまう。

例えば日本人が「彼はやさしい人だ。」という文書を見た場合、文字通り、やさしい性格の人であるという認識ができますが、自動翻訳ツール・サービスでは、「He is an easy person.(彼は親しみやすい/付き合いやすい人だ。)」となってしまいます。原文のひらがな部分を「彼は優しい人だ。」と漢字に直すと、正しい翻訳「He is a kind person.」となります。したがって、文章内において名詞・動詞・形容詞などの切れ目を明確にするために、ひらがなを漢字へ差し替えることが求められるケースがあります。

日本語という言語のむずかしさ

日本語は俳句などでわかるように、短い言葉の中にたくさんの意味を込めて伝えられることができる言葉であり、かつ主語を省略しても問題が無い言語体系であることから、様々な言葉が省略されます。また、英語にはない敬語や尊敬語などの言葉もあってさらに難解なため、文字にされた文章を機械が正確に読み取ることができないため翻訳ミスが多くなってしまうようです。

友人同士でのメールのやりとりであれば、多少ずれがあっても笑い話で済むかもしれませんが、ビジネス上でやりとりされる日本語はある程度整っているとはいえ、逆に間違った解釈により業務が進んでしまうと、目に見える損失が発生してしまいます。

この日本語の難しさが原因で、英語から日本語に翻訳するより、逆に日本語から英語に翻訳する場合のほうが、翻訳精度が落ちるといわれています。逆に文法等が英語に近い、フランス語、スペイン語、ドイツ語などから英訳する、あるいは英語からそれらの言語に翻訳する場合等は自動翻訳に向いており、精度の高さを保つことができるようです。

日→英、英→日での翻訳レベルのギャップ

英語から日本語に翻訳をした場合は、日本人であれば日本語のおかしい部分を頭の中で差し替え、意味をある程度推測し、理解することができる可能性は高くなります。ただし、日本語から英語にした場合は、先述のような問題が複数混在している長文の翻訳では、予想できないような翻訳になってしまう可能性が高くなります。特にビジネスで使われる文章は長文化する傾向があるため注意が必要です。

自動翻訳ツール・サービスの精度は年々向上しており、ちょっとした単語の確認等で使用する場合はかなり役に立ちますが、まだまだビジネスシーンでフル活用できるレベルには達していないようです。

ライター:Sato

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