XMLデータベース 特別対談 XMLのキーマンに訊く「XBRL、企業での活用とその可能性」(2)

XMLデータベース 特別対談 XMLのキーマンに訊く「XBRL、企業での活用とその可能性」(2)

2.XBRLの具体的な利用方法について

橋元:XBRLが実際どのように活用されているのかお伺いします。具体的に言いますと、東証のTDnetで配信しているXBRLベースの決算情報を活用する利用者層としては、テイトレーダーを始めとする個人投資家の方々と、システムに取り込んで活用する情報サービス企業の2種類に分かれると思います。それぞれの具体的な利用方法を教えてください。

吉田氏:まず、個人ベースでは、TDnetが提供する上場企業の決算短信のサマリー情報部分は、ほぼ100%XBRL化されています。証券会社の店頭や街角の電子ニュースのテロップで流れる「●●企業、2009年3月期、売上高 100億円 前年比20%増益」とかいう情報のソースが実はTDnetであり、その情報はXBRLであったりします。知らず知らずのうちに、個人の投資家もXBRLを利用しているわけです。また、この他にも個人投資家の方の一部には、TDnetのXBRLデータを取り込み、自分のWebサイトで売上高上昇率が高い会社のランキングを発表されている方がいらっしゃいます。

橋元:なるほど。私もこういった個人投資家の方のWebサイトは時々見ており、利用させて頂いておりますが、手軽に情報を二次利用したWebサイトがたくさん増えると便利ですね。次に情報サービス企業における活用についてはいかがでしょうか?ロイターや日経新聞などの情報サービス企業やメディアの現場では、決算情報のXBRL化によりどんな変化が起こったのでしょうか?

吉田氏:実際、情報サービス企業の本社にお伺いする機会があったのですが、以前は、決算発表時期が近づくと個室で何十人ものオペレーターの方がTDnetから配信される決算短信の情報をひたすら手で入力していました。決算発表というイベント自体、これらの企業にとっては1分1秒を争うもので、入力した情報をチェックしたり、修正したり、それは大変な作業です。これらの情報が全てXBRL化されてからはシステム化が進んでいますので、決算発表の情報配信業務は、前に比べると随分と効率化されたと聞きます。さらにこれらの情報ベンダーから決算情報が配信されるのは、決算発表後「コンマ何秒」の世界になり、以前に比べて格段に早くなったのも事実です。

橋元:XBRL化は、金融情報サービス企業にとっての「情報公開の迅速性」、「情報の正確性」、というメリットをもたらしたのですね。決算情報が間違って公開されてしまうと、売り買いの指標が変わってしまい、大問題になりかねませんからそのメリットは大きいですね。ところで、XBRLを作成する上場企業の現場では、現在はどのような効果が表れていますか?

吉田氏:財務情報がXBRL化されることで、上場企業内でも帳簿の維持・管理から決算情報の作成までストレート・スルーでシステム化が可能となり、効率的に財務情報を活用・管理することが出来るようになりました。特に連結子会社を多く持たれている上場企業にとっては、XBRLという標準フォーマットを採用することで、各システムのデータフォーマットに縛られることなく情報の作成や流通・再利用が出来るので、XBRL化のメリットが大きいと思います。

橋元:作成する側の上場企業も、XBRLの恩恵を確実に受けていると言えますね。東証さん自身の効果についても教えてください。

吉田氏:情報サービス企業と同じようにTDnetにおけるXBRLの全面採用以前は、上場会社から提出される決算短信については、一部東証の中でも手で打ち込んでいました。現在は財務情報の入力を自動的に行えるようなシステム化を進めているところです。

3.企業におけるXBRLの活用について

橋元:サイバーテックは、XBRLを始めとするXMLデータを格納する、XMLデータベース(XML DB)を開発・販売していますが、XBRLを取得し、二次利用しているような情報サービス企業の中では、XBRLをXMLデータベースに蓄積するニーズがあるのではないかと考えています。ちょうど5月に、ある金融サービス企業(株式会社マネースクウェア・ジャパン様)でXBRLをXMLデータベースに格納して、仕訳業務の効率化とマネジメント向けの社内レポートの作成を自動化した導入事例を公開したところです。この企業の様にXMLデータを扱うためにXMLデータベースが必要とされるニーズが確実にあると考えていますが、吉田様の目から見た、情報サービス企業における具体的な活用方法はどのようなものでしょう?

吉田氏:データが蓄積されれば、直近の決算短信を配信する他に情報をヒストリカルに見る、トレンドを持って見る事が出来るようになります。例えば業績の比較で言いますと、予想との差異を見る場合や、業績と株価との関係性を見る場合に、蓄積したデータを再利用して別のシステムやツールで利用するニーズが出てくるのではないでしょうか。さらに蓄積量が増えれば増えるほど、ロングタームでの比較ができるようになります。

また、情報サービス企業とは少し違うかもしれませんが、国税庁が運用する「e-Tax」に各企業がXBRL形式で提出した財務諸表を金融機関が融資の際に自社のシステムに取り込んで、与信の審査に使っている事例もあります。

橋元:アメリカでは税務申告がすべて電子化されていますが、e-TaxはXBRL形式での申告が義務化されていませんね。日本もそういった取り組みが進むと、企業によるXBRLデータでの申告が増加し、それがまたXBRLデータの活用を促進するという好循環がすすみ、ますますe-Taxは様々な分野での二次利用が進みますね。TDnetやEDINETにおいては、XBRLでの提出が義務化されていますが、現在約4000社ある上場企業のデータを配信するTDnetではどれくらいのXBRL形式のデータが蓄積されているのでしょうか?

吉田氏:2009年7月から開始しましたので、まる1年になります。現時点では、今期、前期の決算データと、来年の業績予想のデータがXBRL化されています。

橋元:蓄積されるデータが今後必ず増えていくということは、そのデータを活用するためのXMLデータベースも必要になってくることが予測されますね(笑)。最初の手間や産みの苦しみは伴いますが、上場企業はXBRL形式での提出が義務化されているので、EDINETやTDnetの情報価値は非常に高いと思います。ただ、企業規模も様々と思いますので、足並みがそろわなかったらXBRL導入の流れに乗れない企業が必ず出てきてしまいますよね。そうなると、利用をする立場からすると情報の価値が低くなってしまい、本当の意味での普及は難しかったような気がします。

吉田氏:上場企業も大企業からそうでない企業まで様々ですので、利用者側からの要望だけでは、どの企業も一律に、というのは難しいと思います。義務化というのは、作成者側の企業からしてみると、そのインパクトは非常に大きいことを認識いただきたいです。どちらにしても、XBRLを作成する企業には、少なからずも負担をして頂いているわけですから、受け取る側もそういう意識を持ってやらなければいけないと思います。

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