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ChatGPTの衝撃!

ChatGPTの衝撃!

2023年2月 6日

このところ、画期的なAIサービスとして、ChatGPTが色々と取り上げられていますが、IT業界の人間であることはもとより、少しAIに携わっているからか、「ChatGPTって知ってる?」「ChatGPT使ったことある?」ということを聞かれたりします。

皆さんは「ChatGPT」、もうお試しになりましたでしょうか?

ChatGPTはOpenAIが開発したモデルで、GPT(Generative Pretrained Transformer)という技術を活用しています。大量のコーパスを学習した後に、ファインチューニングとして再学習をさせているようですが、人と人との会話といった、自然言語処理に強い反面、完全に論理的な回答には今のところそれほど向いていないようです。例えば同じ質問をしても、微妙に回答内容が変わったり、質問の内容が飛んだり、といった具合です。元の文章の内容が少し欠落した形や変に補完された形で訳文が出来るGoogle翻訳などのAI翻訳と似ていますね。

Googleなどが提供する検索エンジンは、あらかじめWebをクロールしたコンテンツを機械学習しておき、人が要求した内容(クエリ)に対して、最適と思える検索結果を複数提示します。検索エンジンが出す複数案を活用して、最終的に人が判断して適切な情報ソース(Webページ)を探す流れになるため、人間が複数の情報から選択するという判断を行います。

一方、ChatGPTは投げかけた問い合わせに対して、並列化された回答も含めると1種類の回答しか返ってこないので、人が回答結果から選択するという作業が無くなり、人間側はそれを受け入れるかどうか、あるいはどう活用するか、という判断のみになります。

このようなやりとりは、このところめざましい発展を遂げているGoogle翻訳やDeepLなどのAI翻訳と非常に似ています。つまり、1種類のソース言語で書かれた文章をAI翻訳エンジンに投げると、対応した訳文が1種類提示されるので、あとはそちらを受け入れるかどうか、あるいは一部修正(専門的にはポストエディットと言います)して活用する、といった最終的な判断を人間側が行い、訳文が出来上がるという流れです。

話が脱線しますが、昨今から目覚ましい発展をしているAI翻訳は、ルールベース機械翻訳(Rule Base Machine Translation、通称RMT)から、統計的機械翻訳(Statistical Machine Translation、通称SMT)を経て、現在の主流はディープラーニングを活用したニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation、通称NMT)へと進化してきました。AI翻訳の原理は、大量のコーパス(対訳データ)をベースに学習させたモデルがベースとなりますが、ChatGPTに関しても同様のアーキテクチャがベースとなっているようです。近年のAI翻訳のめざましい性能向上を見るに、第2世代のAIを発展させた、ディープラーニング技術を活用した第3世代のAIにより、この手のサービスはいずれ登場するかな、と想像はしていました。

ChatGPTにどれぐらい大量のコーパスを学習させたのかは気になりますが、ChatGPTは大量のコーパス学習とファインチューニングにより、おおよその文脈を把握して回答をすることは出来ても、問いかけた質問の意味を詳しく把握して「察する」ような回答をするところまでは至っていないのかなと思います。もしそのあたりも理解できるようなAIが登場すると、その時は本当の会話AIのブレークスルーになるのかなと思います。ChatGPTはジェネレーティブAIだ、という意見もありますが、まだまだそこまでは至っていないとは思います。

あと、気になる点としては、回答に対して良かったか悪かったかをコメントも付けて評価する事が出来るので、ユーザ側が精度を向上させることも、ノイズを入れることもできるかもしれません。例えば、仮に9.11のテロ発生時にChatGPTが存在していたとして、「アラブ系の人は全て悪だ」という瞬間的な世論を良しとする評価がChatGTPの回答に多数決的に当時なされたとすると、その後のモデルにも影響がある可能性もあります。そのへんは何らかのアーキテクチャがあるのか、人が判断しているのか、あるいは一時的に特定の評価を受け付けなくするのか、ChatGPTはどう制御するのか知りたいところですね。

ビジネス面では、恐らくGogoleの幹部たちは、戦々恐々としているのではないでしょうか。精度の高いニューラル機械翻訳を実現しているGoogleも基礎技術は保有していると思うので、割と早い時期に同じようなことをやってきそうな気はしますが、そうすると、ChatGPTに投資したマイクロソフトとグーグルとの真っ向勝負?

大昔のIE VS ネスケじゃないですが(古いですか・・・)、新たな土俵での対決が生まれるのかなと、IT業界に携わる身としてはとてもワクワクしています!

私が携わるトリセツの業界でいえば、マニュアルのテキスト情報を抽出してコーパスを作り、ChatGPTに独自学習させたモデルを使うと、一部のテクニカルライティングが出来そうですが、現在はChatGPTに独自学習をさせることはできませんし、そもそも学習コストが現実的ではなさそうです。しかしながら、少し前までは「AIでテクニカルライティングできますか?」と聞かれても、いやいやまだまだ程遠いSFの世界ですよ、とお話していましたが、近い将来、現実になるかもしれませんね!

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