営業・企画職のためのXMLレシピ 第15回:コンテンツのXML化、そのメリットデメリットを考える

XML/XML DBのサイバーテック:連載コラム/営業・企画職のためのXMLレシピ

2011年12月26日
クロスメディア開発部 部長 小野 雅史

今回は、ずばりコンテンツをXML化するメリットとデメリットについて書きたいと思います。ここで触れるXMLは、コンテンツを保存するデータフォーマットとしてのXMLを指します。プログラミング言語としてのXMLや、再利用を目的としないデータ交換/流通フォーマットとしてのXMLについては当てはまらないと考えて下さい。

メリット

「アプリケーションに依存しない」

XMLデータフォーマットはW3Cが策定した世界標準規格です。特定のソフトウェア仕様や特定の製品ライフサイクルに依存する事がなく、コンテンツを取り扱う情報システムやXML編集環境が変わったとしても、保存するデータフォーマットとして陳腐化する事はありません。

「何にでも化ける(再利用性が高い)」

XMLはコンピュータ・プログラムを使って別のデータに変化する事が容易です。スタイルシートの一種である、XSL(Extensible Stylesheet Language)は、XMLの装飾情報を定義するための言語で、これを使う事でXMLデータを「別の形式のXMLデータ」や「Webブラウザで参照するためのHTML」さらには「印刷物を作成するためのレイアウト情報を付加したPDFデータ」などに自動的に変換する事ができます。XMLは、汎用的な規格であるがゆえに、あらゆるデータ形式に変換しやすいのです。

特に近年は、企業内のあらゆるコンテンツは、社内外問わずWebに展開する必要性が高まっています。私は「Webサイトのコンテンツを効率良く管理する事=企業内のコンテンツ資産を汎用的な形式で一元的に保存する事」が今後どの業種においても、企業のコンテンツ管理に求められると確信しています。

「視認性が高い(DBやCSVと比べて)」

データベースやCSVと比べて、という前提ですがXMLはテキスト形式であるがゆえに、誰もが簡単にその内容と構造を目で見る事ができます。データベースに格納されたデータはSQLを操作できる人しか見る事ができませんし、親子関係など階層的な構造を一目で確認する事ができません。また、CSVはデータの内容は簡単に見る事ができますがそれが何を意味するものなのかを確認するのが困難です。データの内容そのものと意味、そして構造を表現でき、テキストエディタで簡単に確認できるのもXMLの大きな特長であると言えます。

デメリット

「編集しにくい」

これは主にMS-WordやInDesignのようなソフトウェアで作成されたコンテンツフォーマットとの比較になります。XMLをコンテンツ制作現場の人が使う場合、XML編集用の専用エディタを用いる事がありますが、そのためにはXMLそのものを学習する必要があります。しかし、実際にはMS-WordやDTPソフトを使ってデスクトップで簡単に完成イメージを目で確認しながら編集作業を行いたいはずです。「XMLは敷居が高い」と言われるのはこの理由からです。商談の現場でもこういった声は非常に多く、XMLを知らない人でも、XMLを意識しないで編集できるソフトウェアや編集環境を安価に提供できるようにするのがメーカー側の今後の課題であると言えます。

「コンピュータ処理の負荷が大きい」

これは主にRDBやCSVとの比較になります。XMLは「タグ」で囲まれたデータフォーマットですから、コンピュータで処理する際には、タグなしデータに比べて処理する対象のデータ容量は当然大きくなりますし、プログラム自体がタグを意識して開発しなければいけません。その分CPUやメモリを多く消費するのです。しかし、この問題は、ハードウェアの性能向上や、データ容量やCPU性能をスケールアウトできるクラウドコンピューティングの普及により改善の方向に進みつつあると言えます。

XMLのデメリット 「技術者や支援サービスが少ない」

XMLは最初に書いた通り、コンテンツのデータフォーマットであるとともに、コンピュータで自動的に処理する事を前提としています。つまり、XMLでコンテンツを保存する事は、同時にXMLを処理するシステムやプログラムを開発する事につながります。しかし、XMLを扱う技術者は十分であるとは言えません。厳密に言うと、XMLのデータ設計やプログラミングを行う技術者だけではなく、XML化する上流工程や支援を行う人が少ないと言えます。

具体的には、「紙面を分析して構造を解析する人」、「最適なXML編集ツールを選定する人」、「入力編集者に対してアドバイスやトレーニングを行う人」です。XMLはドキュメントでもあり、システムでもあります。私が属するIT・ソフトウェア業界だけでなく、XML化の支援については、ドキュメントの取扱に慣れた印刷会社や制作会社の方にも、もっともっと積極的に取り組んで欲しいと思っています。そこには、ビジネスチャンスがあると思いませんか?

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